過去に不許可になった理由が素行だった場合の再申請時期と対策#
日本の在留資格申請において、審査結果が「不許可」となる理由は様々ですが、その中でも「素行(素行善良要件)」を理由とする不許可は、単なる書類の不備とは異なり、非常に深刻な問題として扱われます。特に永住許可申請においては、素行善良要件は必須の基準となりますが、他の在留資格の変更や更新においても、重大な法令違反はマイナスの評価を受けます。
ここでは、過去に「素行」を理由として不許可処分を受けた場合、具体的にどの程度の期間を空けて再申請を行うべきか、またどのような対策が必要となるかについて、客観的な基準と実務上の傾向に基づいて解説します。
「素行不良」とは具体的に何を指すのか#
入管審査における「素行」の問題は、主に日本の法令を遵守しているかどうかで判断されます。具体的には以下の3つのカテゴリーに大別されます。
- 刑事罰を受けた場合 警察に逮捕され、裁判所から刑罰(懲役、禁錮、罰金など)を受けたケースです。
- 交通違反 道路交通法違反による反則金の納付や、より重い罰金刑を受けたケースです。
- 入管法違反および生活状況 資格外活動(オーバーワーク)や、家族の不法滞在への関与、あるいは地域社会での著しい迷惑行為なども含まれます。
これらが原因で不許可となった場合、単に反省文を提出するだけでは許可を得ることは難しく、一定の「経過期間」が必要となります。
再申請までの待機期間の目安#
再申請が可能になるまでの期間は、違反の内容や受けた処分の重さによって異なります。以下は、一般的な目安とされる期間です。ただし、これらはあくまで目安であり、個別の事情や申請する在留資格の種類(特に永住権かそれ以外か)によって判断基準の厳しさは変わります。
1. 懲役・禁錮刑(実刑)の場合#
最も重い処分であり、刑期を終えて出所してから10年を経過する必要があります。これは永住許可申請のガイドラインにおいて「素行善良要件」を満たすための基準とされています。実刑を受けた場合、通常の就労ビザ等の更新も非常に困難になりますが、日本人の配偶者等など身分系の資格の場合は人道的な配慮がなされることもあります。しかし、基本的には10年という長い期間、日本で真面目に生活した実績が求められます。
2. 執行猶予付きの判決の場合#
執行猶予がついた場合は、実刑よりは軽いとみなされますが、それでも重大な違反です。この場合、執行猶予期間が満了してから5年が経過することが一つの目安となります。執行猶予期間中は「刑の言渡しが効力を失っていない」状態であるため、その期間中に申請を行っても許可される可能性は極めて低いです。
3. 罰金刑の場合#
交通違反の「赤切符」による罰金や、傷害罪、器物損壊罪などで略式起訴され罰金を支払った場合がこれに該当します。罰金刑を受けた場合は、罰金を納付してから5年を経過することが再申請の目安とされています。特に永住申請においては、過去5年間に罰金刑を受けていないことが重要視されます。
4. 交通違反(青切符・反則金)の場合#
一時停止違反や駐車違反などの軽微な違反(青切符)の場合、数回程度であれば直ちに不許可の直接的原因になるとは限りません。しかし、短期間に5回、6回と繰り返している場合は「順法精神に欠ける」とみなされ、素行不良として扱われます。 この場合は、最後の違反から少なくとも2〜3年は無事故無違反を継続し、運転記録証明書によってその実績を立証する必要があります。
再申請に向けた具体的な対策#
待機期間を過ぎたからといって、自動的に許可が下りるわけではありません。「過去の過ちを清算し、現在は更生している」ことを積極的に立証する必要があります。
正直な申告と反省文の提出#
最も避けるべきことは、過去の処分を隠して申請することです。入管当局は警察庁とデータを連携しているため、犯罪歴や処分歴は必ず把握されます。隠蔽が発覚した場合、虚偽申請としてさらに重いペナルティが課されます。 申請書には賞罰歴を正確に記載し、別途「反省文」や「嘆願書」を提出します。これには、当時の事実関係、深く反省していること、二度と同じ過ちを繰り返さないための具体的な対策、現在の安定した生活状況を詳細に記述します。
生活の安定性の証明#
素行以外の要件(独立生計要件など)を完璧にしておくことも重要です。素行にマイナス点がある以上、仕事、収入、納税状況、家族関係など、他の面では一切の不安要素がない状態にしておくことが、審査官の心証を良くするために不可欠です。
まとめ#
「素行」を理由とした不許可からのリカバリーには、時間というコストがかかります。懲役や罰金などの処分を受けた場合、永住申請であれば5年から10年の待機期間が必要です。就労ビザや配偶者ビザの更新・変更においても、処分の重さに応じた一定期間、善良な生活を継続した実績が求められます。
焦ってすぐに再申請をするのではなく、法令で定められた期間や実務上の目安期間をしっかりと空け、その間一切の法令違反を犯さないことが、次回の許可への最短ルートとなります。