育休中の社会保険料免除期間における納付証明の記載方法と立証資料#

日本の在留資格申請、特に永住許可申請や就労ビザの更新申請において、社会保険料(健康保険・厚生年金)の納付状況は極めて重要な審査項目です。未納や滞納がある場合、審査に大きなマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

しかし、日本には育児・介護休業法に基づく「育児休業(育休)」の制度があり、この期間中は社会保険料の納付が免除されます。申請者の方々から、「保険料を払っていない期間があるが、申請書類にどのように記載すればよいか」「未納として扱われないか」という疑問が多く寄せられます。

ここでは、育児休業取得中に社会保険料が免除されている期間について、入管局への提出書類における正しい記載方法と、それを証明するための資料について詳しく解説します。

育児休業中の社会保険料免除制度の基本理解#

まず、前提となる制度を整理します。日本の社会保険制度では、事業主が年金事務所や健康保険組合に申し出ることにより、育児休業等を開始した月から終了した日の翌日が属する月の前月までの期間、社会保険料(健康保険・厚生年金保険)が免除されます。

重要な点は、この「免除」は単なる支払い義務の停止ではなく、「納付したもの」として扱われるという法的性質を持っていることです。将来の年金受取額の計算においても、この期間は保険料を全額納めた期間として計算されます。

したがって、入管手続きにおいても、この期間は「未納(Unpaid)」ではなく、「法定免除(Legally Exempt)」として正当に主張することが可能です。

申請書類(納付状況一覧表等)への正しい記載方法#

永住許可申請などの一部の申請では、直近数年間の公的義務の履行状況を報告する書類や、理由書の提出が求められます。

「納付額」欄の記載について#

社会保険料の納付状況を記載する欄がある場合、実際に支払った金額は0円ですが、単に「0円」と書くだけでは、未納なのか免除なのか審査官には判別できません。また、空欄にするのも避けるべきです。

このような場合、備考欄や該当欄の余白を活用し、以下のように具体的に記載することが推奨されます。

  • 記載例1: 「育児休業取得のため法定免除(20XX年X月〜20XX年X月)」
  • 記載例2: 「育児休業期間中のため、社会保険料免除制度適用」

このように明記することで、経済的な理由による未納や滞納ではなく、正当な制度利用であることを明確に伝えます。

理由書での補足説明#

定型の申請書に書ききれない場合は、別紙として提出する「理由書」の中で触れることが重要です。特に永住申請においては、年金記録(ねんきん定期便など)を提出しますが、そこには「納付済」のマークがつかない場合があります。

理由書の中で、「20XX年X月からX月までは育児休業を取得しており、社会保険料の免除承認を受けています。なお、現在は復職し、適切に納付を再開しています(あるいは復職予定です)」といった一文を添えることで、審査官の無用な疑念を晴らすことができます。

立証資料(証明書)の準備#

記載内容を裏付けるための公的な証明資料が必要です。

1. 健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書(写し)#

会社(事業主)が年金事務所に提出した、「育児休業等取得者申出書」の控えがあれば、それが最も直接的な証明になります。会社の人事担当者に依頼し、事業主印や受付印が押されたものの写しをもらうことが一般的です。

2. 年金事務所が発行する通知書#

免除が承認されると、会社宛に「育児休業等取得者確認通知書」が届きます。可能であれば、この写しを会社から提供してもらい、添付資料として提出します。

3. 被保険者記録照会回答票(年金記録)#

年金事務所で取得できる詳細な年金記録です。育休免除期間は、通常の納付とは異なる記号や記載で処理されています。この記録を提出する際、該当箇所を蛍光ペンなどでマークし、余白に「育児休業による免除期間」と注釈を書き加えることで、審査官にとって非常に分かりやすい資料となります。

4. 健康保険組合からの証明#

健康保険についても同様に免除となりますが、組合管掌健康保険(組合健保)の場合は、その組合が発行する免除決定通知書や、納付証明書に免除期間である旨の記載があるかを確認してください。

注意点:手続きのタイムラグ#

最も注意が必要なのは、育休に入ってすぐのタイミングで申請を行う場合です。会社が年金事務所へ免除申請を行ってから、公的なデータ(年金記録)に反映されるまでには1〜2ヶ月程度のタイムラグが発生することがあります。

もし、入管への申請時点で公的記録上の免除反映が間に合っていない場合は、会社が発行する「育児休業取得証明書(社内様式で可)」や、前述の「申出書の控え(受付印があるもの)」を必ず添付し、「現在、公的記録への反映待ちである」旨を説明する必要があります。

まとめ#

入管審査において、育児休業による社会保険料免除はネガティブな要素ではありません。重要なのは「制度を正しく理解し、正当な手続きを経ていること」を審査官にわかりやすくプレゼンテーションすることです。

「何も書かなくても分かるだろう」という予断は禁物です。客観的な資料と、明確な記載によって、法令を遵守して日本で生活していることを誠実に伝えることが、許可への近道となります。


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