認知している非嫡出子が本国にいる場合の扶養義務と入管申請への影響#

日本で生活する外国籍の方が、本国に「認知している非嫡出子(結婚していないパートナーとの間に生まれた子供)」を持っているケースは決して珍しくありません。子供が日本に来る予定がなく、本国で生活している場合、「入管には関係ないだろう」と考えて申請書に記載しなかったり、扶養義務を履行していなかったりすることがあります。

しかし、日本の入管制度において、家族関係の正確な申告と扶養義務の履行は極めて重要な審査項目です。特に永住許可申請や帰化申請においては、これらの事実が審査結果を左右する大きな要因となります。

ここでは、本国に認知した子供がいる場合の申告の重要性、扶養義務の考え方、そして税法上の扶養控除との関連性について詳しく解説します。

入管申請における家族構成の申告義務#

出入国在留管理庁(入管)への申請において、最も重視される原則の一つが「真実性」です。在留期間更新許可申請や永住許可申請などの書類には、家族構成を記入する欄が存在します。

「認知」による法的親子関係#

法律上、婚姻関係にない男女間に生まれた子供であっても、父親が「認知」を行うことで法的な親子関係が発生します。したがって、本国にいる子供を認知している場合、その子供は法的な「子」として扱われます。

虚偽申告のリスク#

もし、入管への申請書類において、認知した子供の存在を隠して「子供なし」と申告した場合、それは「虚偽申告」とみなされるリスクがあります。入管は必要に応じて本国の公的書類を確認したり、過去の申請内容との整合性を厳しくチェックしたりします。後になって子供の存在が発覚した場合、過去の申請内容が嘘であったとして、現在の在留資格の取り消しや、将来の永住申請における不許可の原因となる可能性が高まります。

子供を日本に呼び寄せるつもりがなくても、家族構成欄には正直に記載する必要があります。

扶養義務と「素行善良要件」#

特に永住権の申請や、日本国籍への帰化申請においては、「素行善良要件」が審査されます。これは、申請人が法律を遵守し、社会的に非難されることのない生活を送っているかを見るものです。

親としての責任#

法的に認知した子供がいる場合、親にはその子供を扶養する義務が生じます。子供が本国で生活しており、現地の母親や祖父母が育てている場合でも、父親としての経済的支援(養育費の送金など)を行っているかどうかが問われることがあります。

もし、十分な収入があるにもかかわらず、正当な理由なく自分の子供への経済的支援を怠っていると判断された場合、「親としての義務を果たしていない」とみなされ、素行善良要件を満たさないとして不許可になるケースが存在します。

送金記録の重要性#

口頭で「現金を渡した」「親戚に預けた」と主張しても、入管審査では証拠能力として弱くなります。養育費を送っている場合は、銀行や資金移動業者を通じた公的な送金記録(Remittance Record)を残しておくことが不可欠です。

税法上の扶養控除と整合性#

入管審査では、住民税や所得税の納税状況も厳しくチェックされます。ここで問題となりやすいのが、海外にいる親族の「扶養控除」です。

扶養控除の適正な申告#

本国の子供を税法上の扶養親族に入れて節税を行う場合、実際にその子供に対して生活費や養育費を送金している事実が必要です。単に認知しているだけで、経済的な援助を行っていないにもかかわらず扶養控除を受けている場合、それは「脱税」に近い行為とみなされる恐れがあります。

逆に、実際に養育費を送っているにもかかわらず、手続きが面倒だからといって扶養控除を申請していない場合、所得証明書上の可処分所得が低く見えてしまい、生計要件(独立して生活できる経済力があるか)の審査で不利になることもあります。

入管申請と税務申告の矛盾#

最も避けるべきは、入管への申請と税務署への申告で矛盾が生じることです。

  • 税務申告では「子供がいる」として扶養控除を受けているのに、入管への申請書には子供を記載していない。
  • 入管へは「子供を扶養している」と主張しているが、送金記録が一切ない。

このような矛盾は、審査官に不信感を抱かせ、審査の長期化や不許可の直接的な原因となります。

まとめ#

本国に認知している非嫡出子がいる場合、以下の点に留意する必要があります。

  1. 正直な申告: 日本に呼ぶ予定がなくても、申請書の家族欄には必ず記載する。
  2. 扶養の実績: 親としての責任を果たすため、適切な養育費の支払いを行い、その証拠(送金記録)を保存する。
  3. 整合性: 入管への申告内容と、税務上の扶養申告の内容を一致させる。

日本の入管制度は、申請人の誠実さを重んじます。複雑な家庭の事情がある場合でも、事実を隠すのではなく、法的な義務を履行し、それを客観的な資料で証明することが、安定的かつ長期的な在留資格の維持につながります。


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