出入国在留管理局による実態調査(自宅訪問)が行われるケースについて#
在留資格の申請手続きにおいて、提出された書類だけでは申請内容の真実性を十分に確認できないと判断された場合、出入国在留管理局(以下、入管)の職員が「実態調査」を行うことがあります。この調査にはいくつかの方法がありますが、その中でも特に申請者の生活状況を直接確認するために行われるのが「自宅訪問」です。
この調査は、申請された内容が事実に基づいているか、生活の実態が伴っているかを確認するための重要な手続きです。今回は、どのようなケースで自宅訪問が行われやすいのか、その目的や注意点について客観的に解説します。
実態調査の目的とは#
入管が行う実態調査の根本的な目的は、在留資格審査の公平性と正確性を担保することにあります。申請書類は申請者自身が作成するため、その内容が必ずしも事実を反映しているとは限りません。特に、偽装結婚や不法就労の温床となりうる申請については、より慎重な審査が求められます。
そのため、入管職員が直接、申請者の自宅や勤務先を訪れ、生活や就労の状況を客観的に確認することで、書類だけでは見えない「実態」を把握し、許可・不許可の判断材料とします。自宅訪問は、特に申請者の私生活の状況が在留資格の要件と密接に関わる場合に行われることが多いです。
自宅訪問が実施される主なケース#
自宅訪問は全ての申請で行われるわけではありません。入管が特に信憑性の確認が必要だと判断した場合に実施されます。以下に、自宅訪問が行われやすい代表的なケースを挙げます。
1. 国際結婚に伴う在留資格(「日本人の配偶者等」など)の申請#
最も自宅訪問が行われる可能性が高いのが、国際結婚に関する在留資格の申請です。これは、残念ながら結婚の実態がないにもかかわらず、在留資格を得るためだけに婚姻届を提出する「偽装結婚」を防ぐ目的があります。 入管職員は、夫婦が実際に同居し、共同で生活を営んでいるかを確認します。具体的には、以下のような点をチェックすることがあります。
- 生活の痕跡: 表札、寝室の状況(ベッドが一つか二つか)、歯ブラシや食器などの生活用品が二人分あるか。
- 共有の思い出: 夫婦や家族の写真が飾られているか。
- 近隣への聞き込み: 周辺の住民に、夫婦が一緒に住んでいる様子があるかなどを尋ねることがあります。 また、訪問時に夫婦が揃っている場合は、出会いの経緯やプロポーズの言葉、お互いの好きな食べ物といったプライベートな質問を別々に行い、回答に矛盾がないかを確認することもあります。
2. 申請内容に疑義がある場合#
提出された申請書類の内容に、審査官が何らかの疑念を抱いた場合も調査の対象となります。
- 交際期間が極端に短い、または一度も会わずに結婚したケース: 婚姻の真実性に疑いが生じやすいため、実態調査の可能性が高まります。
- 夫婦の年齢差が非常に大きいケース: 社会通念上、不自然と判断される可能性がある場合に、生活実態の確認が行われることがあります。
- 過去に不許可歴や退去強制歴がある場合: 申請者の経歴から、より慎重な審査が必要と判断され、自宅訪問に至ることがあります。
- 収入や資産状況と生活実態の乖離: 提出された収入証明書などから想定される生活レベルと、実際の住居の状況などが大きく異なると判断された場合などです。
3. 「経営・管理」の在留資格申請#
事業所の実態を確認するために事務所への調査が行われるのが一般的ですが、事業所と自宅が同一の場合や、申請者の居住実態を確認する必要がある場合には、自宅部分も調査対象となることがあります。事業の安定性・継続性を判断する上で、経営者の生活基盤が安定しているかも重要な要素となるためです。
自宅訪問への心構えと注意点#
実態調査の自宅訪問は、原則として予告なしに行われます。これは、ありのままの生活状況を確認するという調査の性質によるものです。
- 訪問者(入管職員)の身分確認: 訪問者は必ず「入国審査官」または「入国警備官」の身分証明書を提示します。不審に思った場合は、必ず身分証明書の提示を求め、確認してください。
- 正直な回答: 質問に対しては、嘘をついたり話を合わせようとしたりせず、正直に回答することが極めて重要です。虚偽の回答は、審査において非常に不利な結果を招くだけでなく、将来の申請にも悪影響を及ぼす可能性があります。
- 整理整頓: 普段から整理整頓を心がけ、夫婦の生活が客観的に分かるような状態にしておくことが望ましいです。例えば、二人で写っている写真を飾る、共有のカレンダーを置くなど、共同生活の証拠が自然な形で存在することが、疑念を払拭する助けになります。
まとめ#
入管による実態調査(自宅訪問)は、在留資格審査の適正性を確保するために行われる重要なプロセスです。特に、結婚の信憑性が問われる「日本人の配偶者等」の申請では、実施される可能性を念頭に置いておく必要があります。 この調査は、申請者を疑うためだけのものではなく、申請内容が真実であることを証明する機会でもあります。日頃から申請内容に沿った誠実な生活を送り、偽りのない申請を行うことが、結果的に円滑な在留資格の取得につながります。