永住申請中に在留カードを紛失した場合の再発行手続きと審査部門への報告について#
永住許可申請は審査期間が長期間に及ぶため、その待機期間中に「在留カードを紛失してしまった」というトラブルに見舞われることは珍しくありません。在留カードは外国人住民にとって身分証明書となる極めて重要な書類であり、さらに現在は永住審査中というデリケートな時期であるため、審査への悪影響を懸念されることと思います。
しかし、結論から申し上げますと、カードを紛失したこと自体が直接的に永住許可の不許可要因になることは原則としてありません。重要なのは、紛失後に日本の法令に従って速やかに再発行の手続きを行い、かつ永住審査部門へ適切な報告を行うことです。ここでは、永住申請中に在留カードを紛失した際の具体的な対応フローと、審査部門への連携方法について詳細に解説します。
1. 最優先で行うべき警察署への届出#
在留カードの紛失(または盗難)に気づいた場合、最初に行うべきは入管への連絡ではなく、最寄りの警察署または交番への届出です。これは、後の入管での手続きにおいて、公的な証明が必要となるためです。
遺失届(盗難届)の提出#
警察署で「遺失届(いしつとどけ)」、盗難の場合は「盗難届」を提出してください。届出が受理されると、「受理番号」が発行されます。また、警察署によっては「遺失届出証明書」や「盗難届出証明書」という書面を発行してくれる場合があります。
入管での再発行申請書には、この「受理番号」や「届出警察署名」「届出日」を記入する欄があります。メモを取るか、証明書を取得して、確実に情報を保管してください。これがないと、入管は「本当に紛失したのか」を確認できず、手続きがスムーズに進まない可能性があります。
2. 入国管理局での在留カード再交付申請#
警察への届出が完了したら、次は入国管理局(出入国在留管理庁)で新しい在留カードの発行を求めます。法律により、在留カードを失った事実を知った日から「14日以内」に再交付申請を行わなければならないと定められています。
必要書類#
再交付申請に必要な主な書類は以下の通りです。
- 在留カード再交付申請書: 入管の窓口またはウェブサイトから入手可能です。
- 写真(縦4cm×横3cm): 3ヶ月以内に撮影したもの。
- パスポート: 原本を提示します。
- 所持を失ったことを証する資料: 警察署で発行された遺失届出証明書、盗難届出証明書、またはそれらが発行されない場合は受理番号の控えなど。火災で焼失した場合は罹災証明書が必要です。
この手続きは、原則として即日行われ、新しい在留カードがその場で発行されます。手数料は通常かかりません。
3. 永住審査部門への報告と新カード情報の提出#
ここからが永住申請中の方にとって特に重要なポイントです。 「新しい在留カードを受け取ったら手続き完了」ではありません。永住申請を行っている場合、必ず永住審査を担当している部門へ報告を行う必要があります。
なぜ報告が必要なのか#
在留カードを再発行すると、カード右上の「在留カード番号」が変更になります(末尾の数字や記号が変わります)。 入管のデータベースは連携されていますが、永住審査は提出された時点の資料に基づいて行われています。審査官の手元にある申請書類のコピー(旧在留カードの写し)と、現在のあなたのステータス情報(新在留カード番号)に不整合が生じると、審査過程での照会に時間がかかったり、確認のための通知が届いたりと、審査の遅延を招く恐れがあります。
また、誠実な申請者として、登録情報に変更があったことを自ら申告することは、審査官に対する心証の面でも重要です。
具体的な報告手順#
新しい在留カードを受け取ったら、速やかに以下の書類を準備し、永住申請を行った入管の審査部門へ提出(郵送または窓口持参)してください。
- 新しい在留カードの表裏コピー
- 事情説明書(報告書)
- 任意の様式で構いませんが、以下の内容を記載します。
- 申請受付番号(永住申請時に受け取った番号)
- 申請人の氏名、生年月日
- 報告内容:「在留カードを紛失し、再交付を受けたため、新しいカードの写しを提出します」という旨の簡潔な文章。
提出先(追完書類として提出)#
郵送の場合は、封筒の表に赤字で「永住許可申請 追加資料在中(受付番号:○○○○)」と記載し、審査部門宛に送付します。これにより、書類が迷子にならず、担当者の手元に確実に届くようになります。
4. 紛失による審査への影響について#
多くの申請者が「管理能力がないと思われて不許可になるのではないか」と不安に感じますが、単にカードを紛失したことだけで永住が不許可になることはありません。人間であれば誰しも物を紛失する可能性はあります。
問題となるのは以下のようなケースです。
- 14日以内に再交付手続きを行わず、放置していた場合: 入管法違反となり、素行善良要件に抵触する可能性があります。
- 警察に届け出ず、虚偽の説明をして再発行しようとした場合: 虚偽申請とみなされるリスクがあります。
- カードを他人に貸与・譲渡していた場合: 重大な犯罪行為であり、退去強制事由および永住不許可の決定的要因となります。
適切な手順で警察に届け出て、期限内に再交付を受け、審査部門へ報告を行えば、法令を遵守する姿勢を示すことになり、むしろ適切な対応ができる人物として評価されます。
まとめ#
永住申請中に在留カードを紛失したとしても、冷静に対処すれば審査への悪影響は防げます。 手順を整理すると以下のようになります。
- 警察へ遺失届・盗難届を出す(受理番号を控える)。
- 14日以内に入管で在留カードの再交付を受ける。
- 新しい在留カードのコピーと簡単な説明書を、永住審査部門へ提出(追完)する。
この3ステップを迅速かつ確実に行うことが、永住許可への近道となります。不安な場合は、手続きを行った入管の永住審査部門へ電話をし、指示を仰ぐことも有効です。法を守り、誠実に対応する姿勢を保ってください。