就労ビザから経営管理ビザへ変更後の永住申請に必要な年数と要件#

日本で「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザ(在留資格)を持って働いていた外国人が、独立起業して「経営・管理」ビザへ変更するケースが増えています。その際、将来的な目標として永住許可申請を見据えている場合、ビザの変更によって居住年数のカウントがリセットされるのか、また何年経過すれば申請できるのかという疑問が生じます。

ここでは、就労資格から経営管理資格へ変更した場合の永住申請のタイミング、審査における重要な注意点、そして期間を短縮できる特例について客観的な視点から解説します。

永住申請の原則:在留歴10年のルール#

まず、日本の永住許可ガイドラインにおける原則的な居住要件を確認します。永住申請を行うためには、原則として以下の条件を満たす必要があります。

  1. 引き続き10年以上日本に在留していること
  2. このうち、就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していること

この「就労資格」には、会社員としてのビザ(技術・人文知識・国際業務など)だけでなく、経営者としてのビザ(経営・管理)も含まれます。したがって、会社員から経営者へ在留資格を変更しても、日本に住んでいる期間が途切れていない限り、10年のカウントはリセットされません。

例えば、就労ビザで7年間働き、その後経営管理ビザに変更して3年間経営を行った場合、合計で「10年の居住」かつ「10年の就労資格在留」となるため、年数の要件は満たすことになります。「経営管理ビザに変更してから新たに10年待つ必要がある」という認識は誤りです。

最も重要なハードル:「最長の在留期間」要件#

年数要件を計算する上で、多くの申請者が見落としがちなのが「現在有している在留資格の在留期間」です。

永住許可の要件の一つに、「現に有している在留資格について、出入国在留管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定する最長の在留期間をもって在留していること」という規定があります。実務上の運用では、在留期間「3年」以上のビザを持っていることが必須条件とされています。

会社員時代に「3年」や「5年」のビザを持っていたとしても、起業して経営管理ビザに変更した直後は、多くの場合「1年」の在留期間が付与されます。実績のない新設法人には、最初は1年ごとの更新しか認められない傾向があるためです。

もし現在のビザが「1年」であれば、日本居住歴が10年を超えていても永住申請は受理されません。経営実績を積み重ね、更新申請によって「3年」以上の在留期間を取得した時点で初めて、永住申請のスタートラインに立つことができます。これが、就労ビザから変更した際の最大のタイムラグ要因となります。

経営者に求められる厳格な審査基準#

居住年数の条件を満たし、3年以上のビザを持っていたとしても、経営者の永住審査は会社員に比べて非常に厳格に行われます。単に長く住んでいるだけでは許可されず、以下の点が厳しくチェックされます。

1. 会社の経営安定性と継続性#

会社員であれば自身の給与所得のみが審査対象ですが、経営者の場合、経営する会社の財務状況も審査されます。直近(通常2期分以上)の決算が黒字であることが望ましく、債務超過の状態であれば不許可となる可能性が極めて高くなります。安定して利益を出し、役員報酬を支払えるだけの経営基盤があるかが問われます。

2. 役員報酬の額と年収要件#

独立当初は節税や会社の資金繰りのために役員報酬を低く設定するケースが見受けられますが、これは永住申請において不利に働きます。 永住審査には「独立の生計を営むに足りる資産又は技能」という要件があり、一般的には年収300万円以上がひとつの目安とされています。扶養家族がいる場合はさらに高い年収が求められます。経営者として自分自身に十分な報酬を支払い、かつ会社も黒字であるというバランスが重要です。

3. 社会保険・税金の加入と履行状況#

これは最も不許可になりやすいポイントです。会社員時代は給与から天引きされていたため未払いは発生しませんが、経営者は自ら納付する必要があります。

  • 個人の住民税、所得税、国民健康保険(または健康保険)、国民年金(または厚生年金)
  • 経営する会社(法人)の法人税、消費税、源泉所得税、厚生年金・健康保険(法人としての加入)

特に、法人は社会保険(厚生年金・健康保険)への加入が義務付けられています。社長一人の会社であっても加入義務があります。「まだ売上が少ないから」という理由で社会保険に未加入の場合、永住権は許可されません。納期限を守っていることも絶対条件であり、過去に遅延がある場合は、直近1〜2年間すべての支払いを期限通りに行った実績を作ってから申請する必要があります。

高度専門職ポイントによる期間短縮#

原則は10年の居住が必要ですが、「高度専門職ポイント制」を利用することで、この期間を大幅に短縮することが可能です。これは経営管理ビザの保有者にも適用されます。

ポイント計算表(経営・管理)に基づき、以下の点数がある場合は要件が緩和されます。

  • 80ポイント以上:1年前の時点で80ポイントあり、現在も80ポイントある場合、1年の在留で申請可能。
  • 70ポイント以上:3年前の時点で70ポイントあり、現在も70ポイントある場合、3年の在留で申請可能。

経営者の場合、学歴や職歴、年収に加え、「代表取締役を務める法人の資本金や売上高」などもポイント加算の対象となる場合があります。もし会社員時代から高収入・高学歴でポイントが高い場合、あるいは起業によって年収が上がりポイント条件を満たす場合は、10年を待たずに永住申請が可能になります。 ただし、この場合でも「3年以上の在留期間(ビザの年数)」を持っていることは必須条件です。

まとめ#

就労ビザから経営管理ビザへ変更しても、10年の居住カウントはリセットされません。しかし、変更直後に在留期間が「1年」になった場合は、更新を経て「3年」を取得するまで永住申請ができません。

また、経営者としての永住申請は、個人の素行だけでなく「事業の継続性」と「公的義務の履行(社会保険加入等)」が徹底的に審査されます。会社員時代よりも管理すべき責任範囲が広がるため、計画的な法人運営と法令順守が、結果として永住権取得への最短ルートとなります。


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