申請中に離婚が成立した場合の報告義務と審査への影響について#

在留資格(ビザ)の変更や更新、あるいは永住許可の申請を行っている最中に、配偶者との離婚が成立してしまうケースがあります。人生においては予期せぬ出来事が起こり得るものですが、こと入管法上の手続きに関しては、この事実は極めて重大な意味を持ちます。

申請中に離婚が成立した場合、申請人は速やかにその事実を入国管理局へ報告しなければなりません。これを怠ると、単に不許可になるだけでなく、在留資格の取り消しや将来的な不利益につながる可能性があります。ここでは、申請中に離婚した場合の報告義務、審査への具体的な影響、そして今後の在留継続に向けた考え方について、客観的な視点から詳細に解説します。

速やかな報告義務と法的根拠#

まず大前提として、日本の入管制度において、申請内容に変更が生じた場合は、直ちに審査部門へ報告することが求められます。

特に「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」といった身分系の在留資格を申請している場合、婚姻関係の継続は許可の必須要件です。審査官は「許可を出す時点で婚姻関係が実質的に継続しているか」を判断基準としています。したがって、申請時には結婚していても、結果が出る前に離婚が成立すれば、その時点で要件を満たさなくなったとみなされます。

2つの手続きが必要#

離婚が成立した場合、以下の2つの手続きを並行して行う必要があります。

  1. 審査部門への報告 現在審査を行っている入管の部門に対し、「離婚した事実」と「それに伴う申請内容の変更または取り下げ」を申し出る必要があります。これは任意の報告ではなく、審査の前提条件が変わったことを知らせる必須の手続きです。
  2. 配偶者に関する届出(入管法第19条の16) 上記とは別に、中長期在留者は配偶者と離婚してから14日以内に、出入国在留管理庁長官に対して「配偶者に関する届出」を行う法的義務があります。これを怠ると20万円以下の罰金の対象となるほか、将来の永住申請などで不利益を被る可能性があります。

審査への具体的な影響#

離婚が成立したことによる審査への影響は、申請している在留資格の種類によって異なります。

1. 配偶者ビザ(更新・変更)申請中の場合#

「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の更新や変更申請中に離婚した場合、原則としてその申請は不許可となります。

これらの在留資格は、法的に有効な婚姻関係があり、かつ実質的な同居・協力関係があることを根拠としています。離婚により法的根拠が失われるため、審査官は許可を出すことができません。

この場合、速やかに申請を取り下げるか、あるいは離婚後も日本に在留できる別の資格(「定住者」や就労資格など)への変更を検討し、申請内容を変更する措置を講じる必要があります。

2. 永住許可申請中の場合#

永住申請においても、大きな影響が出ます。多くの永住申請者は、「配偶者であること」による特例要件(原則10年の在留歴が3年に短縮されるなど)を利用して申請しています。

申請中に離婚した場合、この「配偶者としての特例」が適用されなくなります。その結果、申請人が「原則10年以上日本に在留していること」などの一般要件を満たしていない限り、不許可になる可能性が極めて高くなります。

もし、配偶者としての身分とは無関係に、就労資格などで単独で10年以上の居住要件や独立生計要件を満たしている場合は、審査を継続してもらえる余地はありますが、それでも身分関係の変更報告は必須です。

報告しなかった場合のリスク#

「報告すると不許可になるから、結果が出るまで黙っていよう」と考えるのは、最も避けるべき行為です。

入国管理局は、定期的に市区町村の戸籍情報等と連携して調査を行っています。また、実地調査が行われることもあります。もし、離婚の事実を隠して許可を得た場合、それは「虚偽の申請によって許可を受けた」ことになり、在留資格等不正取得罪に問われる可能性があります。

最悪の場合、在留資格の取り消し(入管法第22条の4)対象となり、退去強制手続きが取られることもあります。一度でも虚偽申請の記録が残ると、将来どのようなビザを申請する際にも、審査は極めて厳格になり、日本での在留継続が困難になります。

離婚後の在留継続の可能性(「定住者」への変更)#

申請中の離婚により、当初の申請が不許可になることが確定的な場合でも、直ちに帰国しなければならないわけではありません。状況に応じて、別の在留資格への変更が認められる場合があります。

日本国籍の実子を監護・養育する場合#

日本人との間に生まれた子供がおり、申請人が親権を持って日本でその子供を養育する場合、「定住者」(いわゆる日本人実子扶養定住)への変更が認められる可能性が高いです。これには、経済的な基盤があることや、子供との交流実績などが審査されます。

婚姻期間が長期にわたる場合(離婚定住)#

子供がいない場合でも、婚姻期間が概ね3年以上あり、日本での生活基盤が確立している場合は、「定住者」(離婚定住)への変更が認められることがあります。ただし、これは明確な基準があるわけではなく、個別の事情を総合的に判断されるため、ハードルは決して低くありません。

まとめ#

申請中に離婚が成立した場合、その影響は甚大であり、放置すれば不法行為とみなされるリスクがあります。重要なのは、事実を隠蔽することではなく、速やかに入管へ報告し、誠実に対応することです。

当初の申請内容での許可が難しくなったとしても、個々の事情によっては「定住者」や「技術・人文知識・国際業務」などの就労資格へ申請内容を変更することで、在留が認められる道は残されています。制度を正しく理解し、適正な手続きを行うことが、日本での安定した生活を守るための最善策です。


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