永住権取得後に家族を日本へ呼ぶための範囲と条件の最新動向#
日本の在留資格制度において、永住権(永住者)の取得は多くの外国人にとって最終的な目標の一つです。永住権を取得することで、在留期限の更新が不要になり、活動内容(就労)の制限がなくなるなど、生活基盤が大幅に安定します。しかし、永住権を取得した後に、本国の家族を日本に呼び寄せる場合、あるいはすでに日本にいる家族の在留資格を変更する場合、どのようなルールが適用されるのかについては、正確な理解が必要です。
ここでは、永住権取得後の「家族呼び寄せ」に関する範囲、条件、および近年の審査傾向について解説します。
永住者が家族を呼ぶための在留資格#
まず前提として、永住者が家族を日本に呼び寄せる際に申請する在留資格(ビザ)は、「永住者の配偶者等」という区分になります。
永住権を取得する前、例えば「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザで滞在していた場合、その扶養家族は「家族滞在」という在留資格でした。「家族滞在」と「永住者の配偶者等」には、活動範囲に大きな違いがあります。
最も大きな変更点は、就労制限の有無です。「家族滞在」では原則として就労が認められず、資格外活動許可を得ても週28時間以内という制限がありました。一方、「永住者の配偶者等」になれば、就労活動に制限がなくなります。単純労働やフルタイム勤務、起業などが自由に行えるようになるため、世帯全体の経済的安定性が向上するというメリットがあります。
呼び寄せ可能な家族の範囲#
「家族」といっても、無制限に親族を呼び寄せられるわけではありません。入管法および審査実務において認められる範囲は以下の通りです。
1. 配偶者#
法律上の婚姻関係にある配偶者が対象です。事実婚(内縁関係)は、日本の入管法の実務上、原則として「配偶者」とは認められません。したがって、本国で法的な婚姻手続きが完了していることが必須条件となります。
2. 子(実子・普通養子・特別養子)#
永住者の子供も対象となります。未成年の子供を呼び寄せるケースが一般的ですが、成人した子供については審査が厳しくなります。成人している場合、「親の扶養を受ける必要があるか(独立して生計を営んでいないか)」が問われることが多く、単に親子だからという理由だけでは許可されないケースもあります。また、永住権取得後に生まれた子供については、出生から30日以内に申請を行うことで、引き続き日本に在留することが可能です。
3. 親(父母)についての高いハードル#
多くの方が誤解しやすい点ですが、「永住者の配偶者等」という在留資格の対象に「親」は含まれていません。したがって、永住権を取ったからといって、無条件に本国の両親を日本に呼び寄せて一緒に暮らすことはできません。
親を呼び寄せるためには、「特定活動(告示外)」という特別な在留資格を申請する必要がありますが、これは「人道上の配慮が必要な場合」に限られます。例えば、本国の親が高齢で病気であり、かつ本国に身寄りがなく、日本にいる永住者以外に面倒を見られる人が誰もいないといった極めて限定的な状況でのみ許可される可能性があります。この審査基準は年々厳格化しており、単に「孫の面倒を見てほしい」「一緒に暮らしたい」という理由では認められません。
審査における条件と近年の変更点・傾向#
家族を呼び寄せるための審査では、主に「扶養能力」と「素行要件」が厳しくチェックされます。
経済的基盤(独立生計要件)#
永住者である招聘人(呼ぶ側)に、家族を養うだけの十分な収入があるかが審査されます。具体的な年収基準は公表されていませんが、世帯人数に応じた生活保護基準を上回っていることは最低限のラインであり、一般的にはより高い水準の安定収入が求められます。
近年の傾向として、単に「現在の収入がある」だけでなく、「公的義務を履行しているか」が極めて重視されるようになっています。具体的には、住民税、所得税などの納税義務に加え、国民健康保険や国民年金(または厚生年金)の支払いに遅れがないかが徹底的に確認されます。永住申請時と同様、家族呼び寄せの審査においても、社会保険料の未納や滞納は不許可の決定的な要因となり得ます。
永住権の適正性#
現在、永住者の在留資格取り消しに関する法改正の議論が進むなど、永住者に対する監視の目は厳しくなっています。もし永住者が税金や社会保険料を滞納していたり、重大な法令違反を犯していたりする場合、家族の呼び寄せが認められないばかりか、永住者自身の在留資格が危ぶまれる可能性も示唆されています。
まとめ#
永住権取得後の家族呼び寄せは、配偶者や子供にとっては「就労制限の撤廃」という大きなメリットをもたらします。一方で、対象となる範囲は厳格に定められており、特に親の呼び寄せは極めて困難です。また、審査においては、永住者自身の経済力と公的義務の履行状況(納税・社会保険)が厳しく問われます。制度の安定運用と社会保障の観点から、今後はより一層、ルールの遵守と経済的自立が求められる傾向にあります。