前回の申請内容と今回の内容に矛盾があると言われた場合の対応と修正方法#

日本の入国管理局(出入国在留管理庁)へ在留資格の変更や更新、あるいは永住許可申請を行う際、審査官から「前回の申請内容と今回の申請内容に矛盾がある」と指摘されるケースがあります。または、申請人自身が過去の書類と突き合わせた際に矛盾に気づくこともあります。

このような状況は、審査において極めて不利に働きます。入管制度において「一貫性」と「信憑性」は最も重視される要素の一つだからです。ここでは、なぜ矛盾が発生するのか、それが審査にどのような影響を与えるのか、そして万が一矛盾が生じてしまった場合にどのように修正し、説明すればよいのかについて、客観的な視点から詳細に解説します。

入管審査における「矛盾」の重大性#

まず理解しておかなければならないのは、入管局は過去に提出されたすべての申請書類を保管し、データベース化しているという事実です。今回提出する書類だけで審査が行われるわけではありません。数年前、あるいは十数年前に提出した最初の入国時の申請書類や、その後の更新時の書類と、今回の申請内容が照合されます。

ここで情報が食い違っている場合、審査官は以下の2つの可能性を疑います。

  1. 単なる記載ミス(ケアレスミス)
  2. 虚偽申請(嘘をついている、または過去に嘘をついていた)

特に深刻なのは2番目のケースです。入管法において虚偽の申告は処罰の対象となり、最悪の場合、在留資格の取り消しや退去強制事由に該当することもあります。たとえ悪意がなかったとしても、「事実と異なる申告をした」という事実は、申請人の信用(Credibility)を著しく損ないます。

よくある矛盾のパターン#

修正方法を検討する前に、どのような矛盾が問題視されやすいかを確認します。

学歴や職歴の不一致#

過去の申請では「大学卒」としていたのに、今回は「高校卒」となっている、あるいは卒業年次が異なっているケースです。これは、過去の申請時に入国を有利にするために学歴を偽っていたのではないかと疑われます。

過去の入国歴や違反歴の記載漏れ#

「過去に退去強制されたことはない」とチェックしていたにもかかわらず、実際にはオーバーステイの履歴があった場合などです。

同居人や家族構成の不一致#

配偶者の有無や子供の数、同居人の記載が過去の申請と食い違っている場合、偽装結婚や不法就労の助長を疑われる可能性があります。

矛盾を指摘された、または気づいた時の修正手順#

矛盾がある状態で審査が進むと、不許可になる可能性が高まります。指摘を受けた場合、あるいは申請中に気づいた場合は、速やかに以下の対応をとる必要があります。

1. 過去の申請書類の確認#

まず、何が矛盾しているのかを正確に把握する必要があります。もし手元に過去の申請書の控えがない場合、自身の記憶だけに頼るのは危険です。その場合は、個人情報保護法に基づき、出入国在留管理庁に対して「保有個人情報開示請求」を行い、過去に自分が提出した書類のコピーを入手することが賢明です。これにより、どこでどのような記載をしたかを客観的に確認できます。

2. 「理由書(説明書)」の作成#

単に申請書を訂正して再提出するだけでは不十分です。なぜ矛盾が生じたのかを合理的に説明する「理由書(Statement of Reasons)」を添付する必要があります。

単なるミスの場合#

記載ミスや勘違いであった場合は、正直にその旨を記載します。「確認不足により誤った年月日を記載してしまいました。正しくは〇〇です」と謝罪し、正しい情報を提示します。それを証明する資料(卒業証明書や戸籍謄本など)をセットで提出することで、ミスの修正として認められる可能性が高くなります。

過去に事実と異なる申告をしていた場合#

これが最も困難なケースです。過去の申請で事実を隠していた、あるいは偽っていたことが今回の申請で露呈した場合、言い訳やさらなる嘘で取り繕うことは事態を悪化させるだけです。

この場合、唯一の修正法は「過去の過ちを正直に告白し、反省文(始末書)と共に正しい情報を申告すること」です。 「当時はビザが下りないことを恐れ、事実と異なる記載をしてしまいました。深く反省しております」というように、正直に経緯を説明し、今後は一切虚偽を行わないことを誓約します。もちろん、これにより即座に許可が下りる保証はありませんが、嘘を重ねて発覚した場合は永久的に信頼を失うことになります。誠実な開示こそが、将来的なリカバリーの唯一の道です。

3. 立証資料の提出#

口頭や文章での説明だけでなく、修正後の内容が真実であることを客観的に証明する資料を提出します。 例えば、職歴に矛盾があった場合は、在職証明書や退職証明書、源泉徴収票などを網羅的に提出し、正しい履歴を確定させます。

理由書作成における注意点#

理由書や説明書を作成する際は、以下のトーンと構成を心がけることが重要です。

  • 感情的にならない: 言い訳がましく書くのではなく、事実関係を淡々と、かつ論理的に記述します。
  • 「知らなかった」は通用しにくい: 申請書類に署名をした時点で、申請人はその内容に責任を負っています。「代行者が勝手に書いた」「友人に任せていたので知らなかった」という主張は、原則として管理責任を問われるため、免罪符にはなりません。自身の確認不足であったことを認める姿勢が必要です。
  • 一貫性を取り戻す: 今回の修正によって、現在から過去、そして未来にわたってストーリーが一貫するように整えます。

まとめ#

前回の申請内容との矛盾は、入管審査において「赤信号」が灯った状態と言えます。しかし、人間である以上、ミスは起こり得ますし、過去の過ちを正す機会が完全に閉ざされているわけではありません。

重要なのは、矛盾を指摘された際に、それを隠蔽しようとしたり、安易な嘘で逃れようとしたりしないことです。入管当局は膨大なデータを持っています。対抗しようとするのではなく、誠実さを持って事実を明らかにし、反省と正しい情報を提示すること。これこそが、信頼を回復し、審査を前に進めるための最善かつ唯一の方法です。


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