高度専門職が永住許可を得た後の家事使用人の在留資格について#

高度専門職(HSP)の在留資格は、日本の経済成長への貢献が期待される優秀な外国人材を受け入れるための制度です。この制度には、帯同する配偶者の就労や親の帯同など、いくつかの優遇措置が設けられており、その一つに「家事使用人」の帯同があります。しかし、高度専門職の方が日本での安定した生活基盤を築き、永住許可を取得した場合、帯同している家事使用人の在留資格はどうなるのでしょうか。本稿では、この点について客観的な情報に基づき解説します。

高度専門職に認められる家事使用人の帯同制度#

まず、前提となる制度について確認します。高度専門職の在留資格を持つ外国人は、一定の要件を満たすことで、外国人の家事使用人を帯同することが認められています。このとき、家事使用人には「特定活動」という在留資格が付与されます。

この制度を利用するための主な要件は以下の通りです。

  1. 雇用主(高度専門職)の世帯年収: 高度専門職としての活動から得られる年収が1,000万円以上であることが必要です。

  2. 帯同できる家事使用人の条件:

    • 入国帯同型: 雇用主と共に入国する場合。出国前から1年以上雇用しており、今後も引き続き雇用することが条件です。
    • 家庭事情型: 雇用主の世帯に13歳未満の子どもがいる、または病気等の理由で配偶者が家事に従事できない事情がある場合。
  3. その他の要件:

    • 家事使用人は18歳以上であること。
    • 月額20万円以上の報酬を支払うこと。
    • 雇用主と家事使用人との間で、上記の条件を明記した雇用契約を締結していること。

重要なのは、この制度が雇用主の在留資格が「高度専門職」であることを前提とした優遇措置であるという点です。家事使用人の「特定活動」ビザは、雇用主が高度専門職であるという法的地位に直接的に関連付けられています。

永住許可取得による家事使用人の在留資格への影響#

それでは、本題である「高度専門職の方が永住者になった場合」の影響についてです。

結論から述べますと、原則として、雇用主が「永住者」の在留資格に変更した場合、家事使用人はこれまでと同じ「特定活動」の在留資格を更新することはできなくなります。

その理由は、前述の通り、家事使用人の帯同許可はあくまで「高度専門職」という在留資格に付随する優遇措置だからです。雇用主が「永住者」になると、在留資格の法的根拠が「高度専門職」から「永住者」に変わります。現在の日本の出入国管理及び難民認定法(入管法)において、「永住者」という在留資格には、高度専門職のように家事使用人を帯同するための特別な制度は設けられていません。

したがって、雇用主が永住許可を得た時点で、家事使用人の在留資格の前提条件が失われることになります。在留期間の更新時期が来た際に、更新申請は原則として不許可となる可能性が極めて高いです。

考えられる対応と注意点#

雇用主が永住者になった後も、家事使用人の雇用を継続したいと考える場合、どのような選択肢があるのでしょうか。

残念ながら、永住者である雇用主が、同じ人物を「家事使用人」として引き続き「特定活動」ビザで雇用し続けるための直接的な代替策は、現行制度上では存在しません。

家事使用人本人が、自らの学歴や職歴などに基づき、他の就労可能な在留資格(例:「技術・人文知識・国際業務」など)の要件を満たすのであれば、在留資格の変更を申請することは理論上可能です。しかし、家事使用人としての業務内容は、通常これらの専門的な在留資格が想定する活動には該当しません。そのため、家事使用人としての業務を継続したまま、別の就労ビザを取得することは現実的には非常に困難です。

このため、高度専門職の方が永住申請を検討する際には、以下の点を十分に認識しておく必要があります。

  • 永住許可を取得すると、現在雇用している家事使用人は、在留期間満了をもって日本に滞在し続けることができなくなる可能性があること。
  • 家事使用人の帰国準備や、永住許可後の家庭内の家事体制について、事前に計画を立てておく必要があること。

永住権の取得は、日本での生活をより安定させるための重要なステップですが、それに伴い一部の優遇措置が適用されなくなるという側面も理解しておくことが不可欠です。

まとめ#

高度専門職の在留資格を持つ方が永住許可を取得した場合、その地位に付随していた家事使用人の帯同という優遇措置は失われます。その結果、家事使用人は原則として在留資格を更新できず、日本での滞在を継続することが困難になります。永住申請は、ご自身の在留資格だけでなく、帯同するご家族や家事使用人の立場にも影響を及ぼす重要な決定です。申請を検討する際には、この点を踏まえた上で、将来の計画を慎重に立てることが求められます。


運営者情報  |  プライバシーポリシー  |  お問い合わせ

© 2026 Japan Permanent Residency Q&A Database