永住許可申請において健康診断書の提出や持病の申告は必要か#

日本の永住権(永住許可)を申請する際、申請者の健康状態が審査にどのような影響を与えるのか、また健康診断書の提出義務があるのかという点は、多くの方が抱く疑問の一つです。特に、持病を抱えている方や、過去に大きな病気を患った経験がある方にとっては、非常に切実な問題です。

ここでは、現在の出入国管理及び難民認定法(入管法)および法務省のガイドラインに基づき、永住審査における健康状態の扱いや申告の必要性について、客観的な事実を整理し解説します。

永住申請における健康診断書の提出義務について#

結論から申し上げますと、原則として、日本の永住許可申請において「健康診断書」の提出は求められていません。また、申請書において現在の健康状態や既往歴(過去の病歴)を詳細に申告する欄も設けられていません。

これは、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)や配偶者ビザの申請と同様です。一部の特定活動ビザ(医療滞在など)を除き、日本の在留資格審査では、申請人の身体的な健康状態そのものを医学的な証明書で確認する手続きは一般的ではないのです。

したがって、通常の永住申請手続きにおいて、わざわざ病院で健康診断を受け、その結果を添付する必要はありません。入管側から特段の指示がない限り、自発的に提出したとしても、審査の必須要件ではないため、結果に直結するわけではありません。

持病や通院歴は審査に影響するか#

「健康診断書が不要」であることと、「健康状態が審査に全く関係ない」こととは、意味合いが異なります。入管法における永住許可の要件と照らし合わせた場合、間接的に健康状態が影響を及ぼす可能性があります。

独立の生計を営むに足りる資産又は技能(独立生計要件)#

永住許可の要件の一つに、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」というものがあります。これは、日本社会において経済的に自立し、公的な負担にならずに生活できることを求めています。

もし、申請人が重篤な持病を抱えており、その影響で就労が困難である、あるいは長期間にわたり収入が途絶えているような場合は、この「独立生計要件」を満たしていないと判断されるリスクがあります。つまり、「病気であること」そのものが不許可の理由になるのではなく、「病気によって経済的基盤が崩れ、自立した生活が維持できないこと」が審査上の懸念材料となるのです。

一方で、持病があり定期的に通院していたとしても、安定した就労を継続し、十分な収入を得て自立した生活を送っている場合は、その病気が直接的なマイナス要因となる可能性は低いと考えられます。

健康保険の利用状況と保険料の納付#

近年、永住審査において最も厳格に確認されているのが、公的義務の履行、特に「社会保険(健康保険・年金)」の加入と納付状況です。

保険の「利用」ではなく「納付」が重要#

審査官が注目するのは、健康保険を「どれくらい使ったか(病院に行ったか)」ではなく、保険料を「期限通りに支払っているか」という点です。

日本には高額療養費制度などがあり、持病の治療で医療費が高額になるケースもありますが、正当な権利として健康保険制度を利用していること自体は、不利益な取り扱いを受ける理由にはなりません。しかし、病気などが原因で経済的に困窮し、健康保険料や年金保険料を未納・滞納してしまった場合は、永住許可を取得することは極めて困難になります。

生活保護受給との関係#

健康状態が悪化し、就労不能となって「生活保護」を受給している場合、永住審査の要件を満たすことは非常に難しくなります。これは前述の「独立生計要件」に加え、「国益適合要件(日本の利益に合致すること)」の観点から判断されるためです。

感染症に関する例外#

例外的なケースとして、感染症予防法における「一類感染症」や「二類感染症」などの、公衆衛生に重大な影響を及ぼす感染症に罹患していることが明白な場合などは、上陸拒否事由との兼ね合いや、公衆衛生上の観点から個別の判断がなされる可能性があります。しかし、これは極めて稀なケースであり、一般的な生活習慣病や慢性疾患(糖尿病、高血圧など)がこれに該当することはありません。

まとめ#

日本の永住許可審査において、健康診断書の提出は原則不要であり、持病があることのみを理由に一律に不許可となる規定はありません。重要なのは、健康状態にかかわらず「経済的に自立しているか」「公的義務(保険料納付など)を果たしているか」という点です。

持病をお持ちの方であっても、適切な治療を受けながら就労を継続し、納税や社会保険料の支払いを滞りなく行っているのであれば、制度上、永住権を取得する資格は十分にあります。過度に不安を感じる必要はありませんが、自身の経済状況と公的義務の履行状況については、厳格に管理することが求められます。


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