日本の国家資格取得は在留資格で有利になるのか:高度専門職ポイント制度の解説#

日本で就労する外国人の方々の中には、キャリアアップや専門性の証明のために、宅地建物取引士(宅建)やITパスポートといった日本の国家資格の取得を検討される方もいらっしゃいます。これらの資格が、在留資格の申請や更新において、具体的にどのように評価されるのか、特に「高度専門職」ビザのポイント制度を中心に客観的な情報を提供します。

高度専門職ポイント制度とは#

まず、日本の国家資格が直接的に評価される代表的な制度が「高度専門職」の在留資格です。この制度は、日本の産業にイノベーションをもたらし、労働市場の効率性を高めることが期待される、高度な能力を持つ外国人材の受け入れを促進するためのものです。

具体的には、申請者の活動内容を「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3つに分類し、それぞれの分野で学歴、職歴、年収、年齢、研究実績などの項目ごとにポイントを設定しています。この合計ポイントが70点に達した場合に、高度専門職として認定されます。

高度専門職ビザを取得すると、在留期間が一律「5年」となる、複数の在留資格にまたがる活動が許容される、永住許可申請に必要な在留期間が短縮される(最短1年)といった優遇措置を受けることができます。

ポイントが加算される日本の国家資格#

高度専門職ポイント制度では、「法務大臣が告示で定める日本の国家資格」を保有している場合、ボーナスポイントが加算される仕組みがあります。

ポイント加算のルール

  • 関連業務の要件: 最も重要な条件は、取得した国家資格が「現在従事しようとする業務に関連する」と認められることです。例えば、不動産会社で働いている方が宅建の資格を持っていても、その業務内容が全く関係ない場合はポイント加算の対象となりません。
  • ポイント数: 業務に関連する国家資格を1つ保有している場合、5点が加算されます。関連する資格を2つ以上保有している場合は、10点が加算されます。ただし、10点が上限となります。

対象となる国家資格の例 告示で定められている資格は多岐にわたりますが、代表的なものをいくつか紹介します。

  1. 情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 IT分野で働く方にとって最も関連性の高い資格群です。ITパスポート試験、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験などがこれに該当します。ITエンジニアやシステムコンサルタントといった職務に従事している場合、これらの資格は専門性を客観的に証明し、ポイント加算につながります。

  2. 宅地建物取引士(宅建) 不動産業界で働く場合に評価される資格です。不動産の売買、賃貸借の仲介といった業務に直接関わる場合、業務との関連性が認められやすくなります。

  3. その他専門職の資格 技術士、一級建築士、公認会計士、弁護士、税理士、社会保険労務士など、高度な専門性が求められる多くの国家資格が対象に含まれています。これらの資格を活かした専門的な業務に従事することが前提です。

高度専門職以外の在留資格における資格の役割#

高度専門職のポイント制度以外でも、日本の国家資格は在留資格の申請において有利に働くことがあります。例えば、「技術・人文知識・国際業務」といった一般的な就労ビザの申請や更新の際です。

この場合、資格の保有が直接ポイントになるわけではありませんが、申請者が行う業務の専門性や、その業務を遂行する能力があることを立証するための客観的な資料として非常に有効です。

出入国在留管理庁は、申請者が申請内容通りの活動を行うための十分な知識やスキルを有しているかを審査します。その際に、日本の国家資格を保有していることは、その分野における一定水準以上の能力を持っていることの強力な証明となり、審査官にポジティブな印象を与える可能性があります。

資格取得における注意点#

日本の国家資格が在留資格の面で有利に働く可能性がある一方で、いくつか注意すべき点があります。

  • 業務との関連性が最重要: 繰り返しになりますが、資格を持っているだけでは評価されません。その資格が、日本で行う仕事内容と密接に関連していることが不可欠です。
  • 資格が全てではない: 特に高度専門職ポイント制度では、資格による加点は最大10点です。70点という基準をクリアするためには、年収や学歴、職歴といった他の要素がより大きな比重を占めます。資格はあくまで加点要素の一つと捉えるべきです。
  • 受験資格の確認: 国家資格の中には、特定の学歴や実務経験がなければ受験できないものや、試験が日本語のみで実施されるものがほとんどです。資格取得を目指す前に、ご自身が受験資格を満たしているか、また試験に対応できる日本語能力があるかを確認する必要があります。

まとめ#

日本で取得した国家資格は、従事する業務との関連性が認められれば、高度専門職ポイント制度において加点の対象となります。また、その他の就労ビザの申請においても、自身の専門性や能力を客観的に証明する有効な手段となり得ます。資格取得を検討する際は、それがご自身のキャリアプランや日本での業務内容とどのように結びつくのかを深く考慮し、在留資格の要件と照らし合わせながら進めることが重要です。


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